木材をふんだんに使った混構造の小住宅。
建物のボリュームを抑え屋根を寄棟にすることで
壁面が少なくなり更に軒を深く出すと壁面に影が出来て
建物が傘をさしたように
雨、風や日差しを和らげてくれる。
また壁面が少ない為、斜面地の下からの吹き上げも
軽減され外壁が木製でも安心できる。
深い軒がつくる影と外壁の黒色、
総2階建の凹凸の少ない控えめな表情となるように
窓の配置を検討し、小窓や階段上部のトップライトで
通気や光を取り込んでいる。
建物はコンパクトにして敷地ほぼ中央に配置することで
道路から距離が生まれ、背景に広がる既存樹木の緑が
映えるようにした。
かつてこの地域が自然と密接だったことを踏まえ、
杉板の外壁が背景林に馴染み、
建築が地形に寄り添う「私地公景」となることを
心がけた。
2階のリビング・ダイニングの窓をコーナーに設けて
隣地や周辺と視線の重なりを避けると
視線が重ならないだけでなく近隣の庭を借景でき、
南前方に広がる大阪平野まで視線が広がった。
また、勾配天井で包んだ室内や外壁を板張りにすることで
内部・外部共自然素材の柔らかな表情になり
住み心地の良い空間となった。
所在地 : 兵庫県宝塚市
構造 : 1階RC造+2階木造
敷地面積: 139.72㎡
延床面積: 74.52㎡
撮影 : 松村芳治氏