東京都世田谷区の密集した商店街の中にある
スタジオ付小住宅である。
間口が2.5mに満たない鉄骨3階建ての準耐火建築物。
内部では両手を広げると壁に触れるくらいの空間なので、
通常より身近に感じられる壁をあたたかみのある木の材質で仕上げた。
3階はダイニング・キッチン・リビングと、集う空間なので
壁、床、天井全て木に囲まれた空間とした。
キッチンカウンターからつながるダイニングのテーブルは
ブビンガで製作し、木の素材感が独特の深い色合いや
ムクの質感で空間に落ち着きと安心感を与えている。
2階寝室は無機質な外壁を隠し収納を壁一面設け
扉をシナベニヤとした。
シナベニヤ素地の扉が壁面となり狭い空間の有効利用と
シナの柔らかい色合いで落ち着いた寝室としている。
狭小住宅のため普通に家の中を行き来するだけで
壁に体が触れそうになる。
工業製品の壁なら無意識のうちに冷たい壁に触れないように
距離をとってしまうところを、体温を持った材質の木を壁に使い、
触れても大丈夫、から触れたい、という気持ちで
内部空間を隅々まで使うことになり思いのほか狭さを
感じなくなった。
木の手触り、木目や色、香りに包まれて
小さいからこそ木を感じられる気持ちの良い住宅にしている。
所在地 : 東京都世田谷区
構造 : 鉄骨3階建て
敷地面積: 35.84㎡
延床面積: 81.05㎡
撮影 : 松村芳治氏